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エントリーNO.76
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
デュマ(1802-1870)は旺盛な筆力をもって生涯に小説だけでも257巻に及ぶ作品を書いたが、 「三銃士」はなかでも世界中の人びとにもっとも愛された小説である。 個性豊かな4人の銃士と彼らを結ぶうらやましいまでの友情、 危機にのぞんで男らしく颯爽と行動するそのさわやかさ。 この若々しい男性的ロマンにはつきせぬ魅力がある。

発行
 岩波文庫 2009年5月15日 第53刷
著者名
 デュマ
タイトル
 三銃士 (さんじゅうし) 全2冊
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   一 ダルタニャン老人の三つの贈物
 一六二五年四月の第一月曜日のことである。『 薔薇(ばら) 物語』の作者の郷里マンの町は、 まるで 新教徒(ユグノー) が第二のラ・ロシュルを築くために襲って来たとでもいうように、大混乱であった。 多くの町の人は、女どもが大通りの方に逃げ走るのを見、子供がわんわん戸口で泣き叫ぶのを聞いて、 慌てふためいて (よろい) を着こんだ。 そして、まだまだどうやら尻込みする気持ちを、てんでの火縄銃や (やり) で威勢をつけて、旅館フラン・ムニエの方に駆けつけた。 旅館の前には好奇心いっぱいの騒々しい弥次馬がもう刻々につめよせているのだった。
 その頃、騒動はいっこう珍らしくはなかったのである。どの町の役所の記録を調べても、こんな種類の出来事の一件や二件が記されていない日は、むしろまれだといっていい。 領主間の争いもあったし、国王と 枢機官(すうきかん) との紛糾もあり、スペイン王と国王との戦いもあった。 なお、こういう内乱や国と国との争いのほかに、人民の日常を (おびや) かしていたものは、 盗賊、 強請(ゆすり) 、新教徒、狼、無頼の従者などの 跋扈(ばっこ) である。 町の人は、その泥棒、狼、悪僕を追払うために一々武器を () った。 ----しばしば領主や新教徒にそうすることもあったり、時には国王をすら相手にしかねない。

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