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エントリーNO.74
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
正式には「理性を正しく導き、諸々の学問において真理を求めるための方法の序説」。 近代合理主義哲学の祖デカルト(1596-1650)の主著であり、思想的自叙伝でもある。 ヨーロッパ近代の思想、また文化一般を根本に遡って考えようとするとき、 一度は熟読しなければならぬ書物である。 有名な「われ考う、ゆえにわれあり」の句は本書に見える。

発行
 岩波文庫 2009年4月15日 第22刷
著者名
 デカルト
タイトル
 方法序説 (ほうほうじょせつ)
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

 良識はこの世でもっとも公平に分け与えられているものである。 というのも、だれも良識なら十分に具わっていると思っているので、他のことでは何でも気難しい人たちでさえ、良識については、 自分がいま持っている以上を望まないのが普通だからだ。 この点でみんなが思い違いをしているとは思えない。 むしろそれが立証しているのは、正しく判断し、真と偽を区別する能力、これこそ、 ほんらい良識とか理性と呼ばれているものだが、そういう能力がすべての人に生まれつき平等に具わっていることだ。 だから、わたしたちの意見が分かれるのは、ある人が他人よりも理性があるということによるのではなく、 ただ、わたしたちが思考を異なる道筋で導き、同一のことを考察してはいないことから生じるのである。 というのも、良い精神を持っているだけでは十分ではなく、大切なのはそれを良く用いることだからだ。 大きな魂ほど、最大の美徳とともに、最大の悪徳をも産み出す力がある。 また、きわめてゆっくりと歩む人でも、つねにまっすぐな道をたどるなら、走りながらも道をそれてしまう人よりも、はるかに前進することができる。

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