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エントリーNO.72
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
人間は立派な者として生まれるが、社会が彼を堕落させる、 という根本命題に立って人間形成における自然思想を展開した著作。 理想的な家庭教師がエミールという平凡な人間を、誕生から結婚まで、 自然という偉大な師に従っていかに導いてゆくかを、 結婚相手となるソヒィアの教育をも加えて、 小説形式で述べた教育思想史上不朽の古典。

発行
 岩波文庫 2008年11月25日 第76刷
著者名
 ルソー
タイトル
 エミール 全3冊
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   第 一 編
 万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる。 人間はある土地にほかの土地の産物をつくらせたり、ある木にほかの木の実をならせたりする。 風土、環境、季節をごちゃまぜにする。犬、馬、 奴隷(どれい) をかたわにする。 すべてのものをひっくりかえし、すべてのものの形を変える。 人間はみにくいもの、怪物を好む。なにひとつ自然がつくったままにしておかない。 人間そのものさえそうだ。人間も乗馬のように調教しなければならない。庭木みたいに、好きなようにねじまげなければならない。
 しかし、そういうことがなければ、すべてはもっと悪くなるのであって、わたしたち人間は中途半端にされることを望まない。 こんにちのような状態にあっては、生まれたときから他の人々のなかにほうりだされている人間は、 だれよりもゆがんだ人間になるだろう。 偏見、権威、必然、実例、わたしたちをおさえつけているいっさいの社会制度がその人の自然をしめころし、 そのかわりに、なんにももたらさないことになるだろう。

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