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エントリーNO.71
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
中国最初の史書「史記」の最後にこの70の列伝が置かれている。 宰相、武将、循吏、酷吏、刺客、侠客、素封家等、司馬遷は貴賎を問わず「正義を保持し、 ひとに屈せず、機を失わずして世にあらわれた人々」をとりあげ、 それぞれにしたたかなこれらの人間の生きざまを、躍動する筆致で描き、史記の全体世界像を構成する。

発行
 岩波文庫 2009年1月6日 第52刷
訳者名
 小川 環樹(おがわ たまき)今鷹 真(いまたか まこと)
福島 吉彦(ふくしま よしひこ)
タイトル
 史記列伝(しきれつでん) 全5冊
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   伯夷列伝 第一
 末の世のひとびとはわれ勝ちに利益を争うなかで、ただこの二人のみが正義へ向かってふりかえらず、 国を[弟に]ゆずり、餓え死にした。天下のひとは、これをほめたたえる。 だから 伯夷(はくい) 列伝第一を作る-----太史公自序
 およそ学問するひとが用いる書籍はじつに範囲がひろい。 それでも信頼度をたしかめるにはやはり 六経(りくけい) をたよりにする。 『詩』と『書』には篇のかけたところがあるけれど、 () (舜)や () 禹王(うおう) )の時代のかがやかしいあとを知ることはできる。 [たとえば] (ぎょう) は位をしりぞこうとおもい、 (しゅん) にあとをゆずった。 舜から禹王へのあいだでは 四岳十二牧(しがくじゅうにぼく) の大臣たちことごとく禹をすすめた。 そこでまずその地位において試みられ、禹は職をつかさどること数十年、いさおしのしるしがたかくあらわれた。 しかるのちに政事はかれにひきわたされたのであった。天下とはいかに重き (うつわ) であるか、 王者はいかに大いなるすじめであるかを明示したのであって、かくのごとく、天下を伝える事は、容易なことではなかったのである。 ところが説をなす者はいう、「堯は天下を 許由(きょゆう) に譲った。 許由は受けず、そのことを恥として逃げだし身を隠した」と。

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