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エントリーNO.69
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
オーストリアの田舎に3人の少年がいた。 ある日忽然と現われた美少年に誘われて3人は不思議な世界へ入りこむ。 美少年の名は、サタンといった。 ----トウェインはアメリカの楽天主義を代表する作家だといわれるが、 この作品は彼の全く別の一面、暗い人間不信とペシミズムに彩られ、奇妙に人を惹きつける。

発行
 岩波文庫 2008年5月23日 第8刷
著者名
 マーク・トウェイン
タイトル
 不思議な少年 (ふしぎなしょうねん)
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  一
 一五九〇年の冬であった。オーストリアは、まだ世界から遠く離れて、眠りこけていた。 ここはまだ中世であり、永遠にこの状態がつづくことを約束されているかのようであった。 何世紀も何世紀も昔にさかのぼって、精神の、心の時計で計るとすれば、まだオーストリアは信仰の時代である、という人すらいた。 しかし、それらはすべて賞賛の意味で言われたのであり、軽蔑のつもりではけっしてなかった。 またわたしたち自身も、その意味で受けとり、それを誇りに思っていた。 当時わたしはまだほんの子供だったが、よくおぼえているし、またそれを聞いてたいへんうれしく思ったことも記憶にある。
 そう、オーストリアは世界から遠く離れて、眠っていた。そして、わたしたちの村はオーストリアの中心部にあったので、 眠りもいちばん深かった。丘や森にかこまれて、ひっそりとした深い静寂の中で平和にまどろんでいたのだ。 そして、その夢を破るような世界のニュースも、ここまではほとんど伝わることなく、村人たちは心から満足していた。

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