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エントリーNO.67
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
にんじん色の髪の少年は、そばかすだらけで、根性もひねくれているという。 そんなあだ名を自分の子供につける母親、それが平気で通用している一家。 美しい田園生活を舞台にくりひろげられる、無残な母と子の憎みあいの中に、 しかし溢れるばかりの詩情が漂う。 ルナアル(1864-1910)の少年の追憶が反響する。
  挿絵=ヴァロトン

発行
 岩波文庫 2008年1月15日 第79刷
著者名
 ルナアル
タイトル
 にんじん
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  鶏
 ルビック婦人はいう---
「ははあ・・・オイリイヌは、きっとまた 鶏小舎(とりごや) の戸を
() めるのを忘れたね」
 そのとおりだ。窓から見ればちゃんとわかるのである。
向こうの、広い中庭のずっと奥のほうに、鶏小舎の小さ
な屋根が、暗闇の中に、戸の () いているところだけ、黒
く、四角く、くぎっている。
 「フェリックスや、お前ちょっと行って、閉めて来る
かい」
と、ルピック夫人は、三人の子供のうち、一番上の男の
子にいう。
 「僕あ、鶏の世話をしにここにいるんじゃないよ」

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