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エントリーNO.66
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
イソップのお話を知らずに育った人はあるまい。 しかしまた、この古代ギリシアから伝わる寓話集を正確な形で読んでいる人も意外に少ないにちがいない。 巧みなレトリックで人生の知恵を簡潔に説きあかす「イソップ寓話集」を、 原文に忠実な訳で、ぜひ一度通読して、昔の人びとの人間観察の結果を味わいたいものである。

発行
 岩波文庫 2008年5月23日 第12刷
訳者名
 中務 哲郎 (なかつかさ てつお)
タイトル
 イソップ寓話集 (イソップぐうわしゅう)
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  『第一部』
  一 鷲と狐
 鷲と狐が友だちになって、近くに住むことにした。日々のつきあいで一層友情も固まる、と考えたわけだ。
 こうして、鷲はとある高い木の 天辺(てっぺん) に巣を懸け、狐は根元の茂みにもぐりこんで、子を生んだ。 ところがある時、狐が餌を探しに出掛けた隙に、食い物に困った鷲は、茂みに舞い降りるや、狐の赤ん坊をひっさらい、 (ひな) たちと一緒になって食べてしまった。
 帰って来た狐は、事の次第を悟ったが、子供を殺されたことにも増して辛かったのは、 仕返しができないことだった。地上に住むものの悲しさで、飛ぶものを追うわけにはいかないのだ。 無力で手だてのない者にはこんなことでもするしかないのか、遠くから (かたき) を呪っていた。
 しかしこの鷲も、友情を裏ぎった罰を遠からず受けることになる。 野原で 生贄(いけにえ) 山羊(やぎ) が焼かれている時、 鷲が舞い降りて、火のついた (はらわた) を祭壇から失敬した。

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