エントリーNO.545
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百科全書

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

フランス革命に多大の影響を与えたといわれるディドロ、ダランベールら十八世紀の啓蒙思想家たちが、 アンシャン・レジームのなかで30年の歳月をかけて完成した『百科全書』は近代的知識の集大成である。 人間の理性と善意へのゆるがぬ信念にささえられたその批判精神は思想史上に不朽の名を残した。 「序論」および16の代表項目(本邦初訳)を選び収めた。

発行
岩波文庫 1995年7月17日 第16刷
編者名
ディドロ、ダランベール   
タイトル
百科全書 (ひゃっかぜんしょ)序論および代表項目   
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

 百科全書序論
 私たちが読者におくるこの『百科全書』は、表題に書かれているとおり、一団の文筆家の共同作品である。 私たち〔編集者〕がそのメンバーでなければ、この人々はすべて皆すでに才能を認められているか、もしくはその資格がある人たちだと断言してもよいだろう。 しかし、ただ識者だけが下す権利を持つ判定を先取りするつもりはないが、これほどの大事業の成功を最も強く妨げかねない苦情を何よりさきに撃退しておくことは、少なくとも私たち〔編集者〕の義務である。 そこで、はっきりいっておくが、私たちは自分の力をはるかに超える重荷を無謀にも私たち〔二人〕だけで背負ったのではなくて、編集者という私たちの役目は、主として、 原稿----その最も重要な部分は完成した形で私たちに提出されたのであるが----を秩序づけることにある。 私たちはすでに『趣意書』の本文の中ではっきりと同じ言明をしておいたが、この言明はおそらく『趣意書』の冒頭に置かれるべきであったのだろう。 この用心をしておけば、たぶん私たちは、数多くの一般教養人にも、また幾人かの文筆家にさえも、前もって答えておいたことになったであろう。 彼らは、どうして二人の人間ですべての学問と技術を取り扱うことができたのか、と私たちにたずねているのだが、しかも彼らは、親切にも『趣意書』に讃辞を呈してくれたのだから、 間違いなくそれに目を通していたはずなのだ。 だから、彼らの苦情が繰り返し現れるのを最後的に防ぐ唯一の方法は、たった今私たちがしたように、私たちのこの作品の最初の数行を費やして、その苦情を打ち破っておくことである。


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