エントリーNO.544
岩波文庫を1ページ読書
カフカ短篇集

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

実存主義、ユダヤ教、精神分析、----。カフカ(1883-1924)は様々な視点から論じられてきた。 だが、意味を求めて解釈を急ぐ前に作品そのものに目を戻してみよう。難解とされるカフカの文学は何よりもまず、たぐい、稀な想像力が生んだ読んで楽しい「現代のお伽噺」なのだ。 語りの面白さを十二分にひきだした訳文でおくる短篇集。20篇を収録。

発行
岩波文庫 1991年5月15日 第15刷
著者名
カフカ   
タイトル
カフカ短篇集 (カフカたんぺんしゅう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

     (おきて) の門
 掟の門前に門番が立っていた。そこへ田舎から一人の男がやって来て、入れてくれ、と言った。 今はだめだ、と門番は言った。男は思案した。今はだめだとしても、あとでならいいのか、とたずねた。
 「たぶんな。とにかく今はだめだ。」
 と、門番は答えた。
 掟の門はいつもどおり開いたままだった。門番が脇へよったので男は中をのぞきこんだ。これをみて門番は笑った。
 「そんなに入りたいのなら、おれにかまわず入るがいい。しかし言っとくが、おれはこのとおりの力持ちだ。それでもほんの下っぱで、 中に入ると部屋ごとに一人ずつ、順ぐりにすごいのがいる。


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