エントリーNO.533
岩波文庫を1ページ読書
経済学・哲学草稿

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

マルクスが初めて市民社会の根底たる資本主義経済に鋭いメスを加え、 真の人間開放の道を明らかにしようとした研究の草稿である。 後に「資本論」にみごとに結実する若きマルクスの鋭い問題意識と洞察に貫かれた本書は、 マルクスを研究する上に欠くことのできない文献である。 詳細な注釈および解説を付す。

発行
岩波文庫 1984年4月10日 第23刷
著者名
マルクス  
タイトル
経済学・哲学草稿 (けいざいがく・てつがくそうこう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  第一草稿
 〔一〕 労賃
 労賃は資本家と労働者との敵対的な闘争を通じて決定される。 〔その闘争で〕資本家が勝つ必然性〔はどこにあるか〕。 資本家は、労働者が資本家なしで生活できるよりも長期間、労働者なしで生活することができる。 資本家たちのあいだの団結は慣習となっており、効果のあるものだが、労働者たちの団結は禁止されており、労働者たちにとって悪い結果をもたらす。 その上また、地主と資本家とは、彼らの収入に産業上の利益をつけ加えることができるが、 労働者は自分の勤労による所得に、地代も資本利子もつけ加えることができない。それゆえ、労働者たちのあいだの競争はきわめて激しい。 このようにして、もっぱら労働者にとってのみ、資本と土地所有と労働との分離は、必然的な、本質的な、しかも有害な分離なのである。 資本と土地所有とは、こうした抽象〔的分離〕のなかにとどめておかれる必要はないのだが、まして労働者の労働は、なおさらそんなわけにゆかないのだ。


copyrighit (c) 2011-2012  岩波文庫を1ページ読書  リンクフリー