エントリーNO.510
岩波文庫を1ページ読書
メノン

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

「徳は教えられうるか」というメノンの問いは、ソクラテスによって、その前に把握されるべき「徳とはそもそも何であるか」という問いに置きかえられ、「徳」の定義への試みがはじまる。 「哲人政治家の教育」という、主著『国家』の中心テーゼであり、プラトンが生涯をかけて追求した実践的課題につながる重要な短篇。

発行
岩波文庫 1994年10月17日 第1刷
著者名
プラトン  
タイトル
メノン  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    一
メノン  こういう問題に、あなたは答えられますか、ソクラテス。----人間の徳性というものは、はたしてひとに教えることのできるものであるか。 それとも、それは教えられることはできずに、訓練によって身につけられるものであるか。それともまた、訓練しても学んでも得られるものではなくて、人間に徳がそなわるのは、生まれつきの素質、 ないしはほかの何らかの仕方によるものなのか・・・。
ソクラテス  おや、メノン、これまでテッタリア人といえば、馬に乗るのがうまいのと金持だということでギリシア人のあいだに名がきこえ、讃歎されていたものなのに、いまではどうやら、 知恵にかけてもそういうことになったらしいね。とくに、君の仲間のアリスティッポスもいるラリサの市民というのが、どうもそうのようだ。 そして君たちをそういうふうにしたのは、ゴルギアスだね。なにしろ、彼があの都市にやって行くや、君を愛するアリスティッポスが属しているアレウアス家の (おも) だった人々をはじめ、その他一般のテッタリアの主要人物たちは、 すっかりその知恵に魅せられて、恋びとのように彼を慕うようになってしまったのだから。


copyrighit (c) 2011-2012  岩波文庫を1ページ読書  リンクフリー