エントリーNO.504
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ドゥイノの悲歌

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

『ドゥイノの悲歌』は、『オルフォイスに寄せるソネット』と並ぶリルケ(1875-1926)畢生の大作である。 <ああ、いかにわたしが叫んだとて、いかなる天使がはるかの高みからそれを聞こうぞ?>と書き始められた調べの高いこの悲歌は、 全10篇の完成に実に10年もの歳月を要した。 作品の理解を深めるための詳細な註解を付す。

発行
岩波文庫 2010年1月15日 第1刷
著者名
リルケ  
タイトル
ドゥイノの悲歌 (ドゥイノのひか)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一の悲歌

ああ、いかにわたしが叫んだとて、いかなる天使が
はるかの高みからそれを聞こうぞ? よし天使の列序につらなるひとりが
不意にわたしを抱きしめることがあろうとも、わたしはその
より (はげ) しい存在に焼かれてほろびるであろう。なぜなら美は
(おそ) るべきものの始めにほかならぬのだから。われわれが、かろうじてそれに () え、
嘆賞の声をあげるのも、それは美がわれわれを 微塵(みじん) にくだくことを
とるに足らぬこととしているからだ。すべての天使はおそろしい。
こうしてわたしは自分を抑え、 暗澹(あんたん) としたむせび泣きとともに、
ほとばしり出ようとする誘いの声をのみこんでしまうのだ。ああ、ではわたしたち
 は誰を
たのむことができるのか?天使をたのむことはできない、人間をたのむことは
 できない


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