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エントリーNO.46
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
風土とは単なる自然環境ではなくして、人間の精神構造の中に刻みこまれた自己了解の仕方に他ならない。 こうした観点から著者はモンスーン・砂漠・牧場という風土の三類型を設定し、 日本をはじめ世界各地域の民族・文化・社会の特質をみごとに浮彫りにした。 今日なお論議をよんでやまぬ比較文化論の一大労作である。
  解説=井上光貞

発行
 岩波文庫 2007年10月25日 第49刷
著者名
 和辻 哲郎 (わつじ てつろう)
タイトル
 風土 (ふうど)
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一章 風土の基礎理論
    一 風土の現象
 ここに風土と呼ぶのはある土地の気候、気象、地質、地味、地形、景観などの総称である。 それは古くは水土とも言われている。人間の環境としての自然を地水火風として把握した古代の自然観がこれらの概念の背後にひそんでいるのであろう。 しかしそれを「自然」として問題とせず「風土」として考察しようとすることには相当の理由がある。 それを明らかにするために我々はまず風土の現象を明らかにしておかなくてはならぬ。
 我々はすべていずれかの土地に住んでいる。 従ってその土地の自然現象が、我々の欲すると否とにかかわらず、我々を「取り巻いて」いる。この事実は常識的にはきわめて確実である。 そこで人は通例この自然環境をそれぞれの種類の自然環境として考察し、引いてはそれの「我々」に及ぼす影響をも問題とする。 ある場合には生物学的、生理学的な対象としての我々に、他の場合には国家を形成するというごとき実践的な活動をするものとしての我々に。 それらはおのおの専門的研究を必要とするほど複雑な関係を含んでいる。

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