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エントリーNO.42
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
この冒険小説はとくに少年少女の読物として日本でも早くから紹介された。 老海賊の残した1枚の地図を中心に、宝島の探検を志したジム少年、 ルヴジー医師、スモレット船長等が、 船員を装って乗組んだ一本足の海賊シルヴァーをはじめ一味の残党と航海していろいろな危難にあい、 冒険ののち、ようやく目的地に到着する。

発行
 岩波文庫 2007年10月15日 第47刷
著者名
 スティーブンスン
タイトル
 宝島 (たからじま)
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   第一部  老海賊
     第一章 「ベンボー提督亭」に現われた老海賊
  郷士() のトレローニさん医者のリブシー先生、そのほかの紳士たちが、 ぼくに、宝島のことをすっかりくわしく初めから終りまで、ただしまだ掘り残した宝もあるのだから、島の位置だけは隠して、 それ以外はすべて書きとどめておくようにといわれたので、いまペンを執っているのはキリスト紀元一七・・年だが、 話は、ぼくの父が「べンボー提 () 亭」という宿屋を開いていた時までさかのぼって、そこへ、 日焼けした、刀傷のある、年とった船乗りが現われ、泊まりこむことになった時から始めることになる。
 ぼくは、まるできのうのことのように、よく記憶しているのが、かれは、船乗り用の衣服箱をうしろから手押し車で運ばせながら、家の戸口にどたどたとやってきた。 背が高く強そうで、どっしりとしていて、 (くり) みたいに 褐色(かっしょく) の顔の男だった。 タールまみれの弁髪は、よごれた青い服の両肩に () れさがり、両手はごつごつとして傷だらけで、 (つめ) は黒くて割れていた。片方の (ほお) には、 きたない、青白い刀傷がついていた。ぼくはまた、よくおぼえているが、かれは入江をずっと見まわしながら、ひとりで口笛を吹き、それから急にあの古い船乗り歌をうたいだした。 それは、あとでも何度も聞かされたものだ。

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