エントリーNO.499
岩波文庫を1ページ読書
イワンのばか

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

ここに収められた「イワンのばかとそのふたりの兄弟」はじめ9篇の民話には、 愛すべきロシアの大地のにおいがする。 そして民話の素朴な美しさの中に厳しい試練に耐えぬいたトルストイ(1828-1910)の思想の深みがのぞいている。 ロマン・ロランが「芸術以上の芸術」「永遠なるもの」と絶賛し、作者自身全著作中もっとも重きをおいた作品。

発行
岩波文庫 1999年2月5日 第76刷
著者名
トルストイ  
タイトル
トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    イワンのばかとそのふたりの兄弟
      (軍人のセミョーンと、ほてい腹のタラースと、唖の妹
       マラーニヤと、老悪魔と、三人の小悪魔についての話)
    一
 むかしある国のあるところに、ひとりの裕福な百姓が住んでいた。この裕福な百姓には、三人の息子----軍人のセミョーンと、 ほてい腹のタラースと、ばかのイワンと、ほかにマラーニヤという生まれつき唖の娘とがあった。 軍人のセミョーンは王さまに仕えるために戦争に行き、ほてい腹のタラースは、商売をするために街の商人のところへ行ったが、 ばかのイワンは、妹と一しょにうちに残って、身を粉にして働いた。 軍人のセミョーンは、高い位や領地を得て、ある貴族の令嬢と結婚した。 彼はたいそうな俸給をもらっていたし、大きな領地も持っていたのだが、いつも勘定が足りなかった---- 夫の収入がいくらあっても、貴婦人である妻が、みんなだらしなく使ってしまったので、いつも金がないずめであった。 そこで軍人のセミョーンは、金を集めに領地へ出かけた。すると、管理人が彼に言うには----「お金のはいるわけがありませんよ。 だってわたくしどもには、家畜もなければ、農具もなし、馬も、牛も、 (すき) も、まぐわも、何ひとつないんですもの。 まず何より、そういうものを全部用意しなければなりません----その時初めて収入ができるわけでございます」そこで軍人のセミョーンは、父のところへ出かけて行って、言った----
(サイト管理人 注 「まぐわ」旧漢字見当たらず)


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