エントリーNO.490
岩波文庫を1ページ読書
カルメン

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

スペインを旅行中の考古学者は、ふとしたことから今は獄中にいる山賊ホセを知る。 ホセは形見の銀メダルを母親に渡してくれと学者に頼んだのち、懺悔話を始めた。 それは、純情な青年が情熱の女カルメンに翻弄され、彼女の情夫を殺し、ついには愛するカルメンその人までも殺してしまった悲しい物語だった。 歌劇とはまた異なる沈痛な激情に貫かれたメリメ(1803-70)の最高傑作。

発行
岩波文庫 2010年7月15日 第90刷
著者名
メリメ  
タイトル
カルメン  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    一
 地理学者諸氏はかのムンダの古戦場を、バステュリ・ポエニ地方、現今のモンダに近く、 マルペーリャの北方二里ばかりのところときめてかかっているが、私は昔から疑いを抱いていた。 著者不明の古文書『べルーム・ヒスパニエンセ』〔イスパニヤ戦役〕ならびにオスウナ公のえがたい文庫の中でさがし集めたいささかの資料により、 私自身のたてた推測を申すならば、シーザーが共和国の選手を向こうに廻して、のるかそるかの決戦を試みた記念すべき地は、モンティーリャの附近に求むべきである。 たまたま、一八三〇年初秋、アンダルシヤに遊び、未解決のまま残された諸疑問を解くべく、かなり長い調査旅行を試みた。 近く私の (おおやけ) にする小論は、すべての悪意なき考古学者諸氏の頭から、 疑念を一掃するに足るであろうことを、ひそかに期するものである。


copyrighit (c) 2011 岩波文庫を1ページ読書