エントリーNO.489
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弁論術

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

アリストテレス(前384-322)は弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義、 プラトンが経験による〈慣れ〉にすぎないとした従来の弁論術も、その成功の原因を観察し方法化することによって〈技術〉として成立させ得ると主張。 後世の弁論術、修辞学に大きな影響を与えたギリシア弁論術の精華。

発行
岩波文庫 2011年3月4日 第22刷
著者名
アリストテレス  
タイトル
弁論術 (べんろんじゅつ)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一章  序論----従来の弁論術と技術としての弁論術
 弁論術と弁証術  弁論術は弁証術と相応ずる関係にある。というのは、両方とも、扱う対象が或る意味で一般性があって、誰でも知ることができ、 特定の専門知識を全く必要としない、といった類いのものだからである。 それゆえ、すべての人が、なんらかの形でその両方に関わりを持っている。 なぜなら、或る程度までは、誰でも他人の説の吟味や支持をしてみたり、身の弁明や他人の告発を試みたりするからである。
 弁論術研究の可能性  ところで、多くの人々はこれらのことを、確たる方法も持たずに行なっているか、さもなければ、習熟による慣れを頼りに行なっているだけである。 だが、現にこのようなやり方のいずれでも間に合うのであるから、勿論のこと、それらのことを組織立った方法で行なうことも可能であるだろう。 なぜなら、慣れを頼りに行っている人も、成り行き委せの人も、共にうまく目的を果たしているのは何故であるか、その根拠を考察することは可能であるし、 そのような考察が技術の仕事であることは誰もが躊躇なく同意するところであろうから。


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