エントリーNO.453
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半自叙伝 無名作家の日記

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

『文藝春秋』を創刊し、出版人としても功成り名を遂げた菊池寛(1888-1948)。 生い立ちから紆余曲折を経ながら作家として世に出る頃までを描いた「半自叙伝」。 他に、自身をモデルにした短編小説二篇、恩師・上田敏と友・芥川龍之介についての回想文を収録。

発行
岩波文庫 2008年1月16日 第1刷
著者名
菊池 寛 (きくち かん)  
タイトル
半自叙伝     無名作家の日記    他四篇 
(はんじじょでん むめいさっかのにっき)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    半自叙伝
 (自分は自叙伝など、少しも書きたくない。自分の半生には書くだけの 波瀾(はらん) も事件もないのである。 また私は 久米(くめ) 芥川(あくたがわ) などと比べて、 具象的な記憶に乏しい。ただ、「文藝春秋」に何かもう少し書きたいため、自叙伝的なものでも書いて見ようかと思うのである。 私は、少年時代の出来事を記述などはしない。思い出すことを、順序なく書いて見ようかと思う)

 私の家は、高松藩の 藩儒(はんじゅ) であったと () えば、 体裁はいいが、恐らく三両五人 扶持(ぶち) と云うような 小禄(しょうろく) の家であったに違いない。 それでも、二百坪 (くらい) (やしき) であった。 家は、六 () 位であったろう。
 私は、少年時代のことは、何も書くことはない。私は幼年時代には、割合可愛い子供であったらしい。


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