エントリーNO.444
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ワーズワース詩集

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

ワーズワース(1770-1850)は19世紀のもっとも優れた自然詩人であり、 自然のために自然を歌うことに一生を捧げたイギリスの唯一の詩人であった。 彼の自然に対する親しみある静観的態度は、自然を愛慕する日本人の共感をあつめ、 明治、大正文学に多くの影響を与えた。本書は彼の作品のうち比較的短い詩の傑作を網羅したものである。

発行
岩波文庫 1984年7月10日 第47刷
訳者
田部 重治 (たなべ じゅうじ)  
タイトル
ワーズワース詩集 (ワーズワースししゅう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    哀れなスーザンの夢想
日光のさすころ、ウッド街のまがり (かど) に、
(かご) (つぐみ) が声高く鳴いた、三とせも歌いつづけて来た。
哀れなスーザンはそこを通り過ぎて、
朝まだきの静けさの中に、それを聞いた。

魅力をもつ歌声なのに、何が彼女を (なや) ますのだろう。
彼女の (ひとみ) にはそびゆる山と 樹々(きぎ) のまぼろしが浮び、
雲霧(うんむ) の輝く 渦巻(うずまき) はロスベリを (ただ) よい、
チープサイドの谷間には河が走っている。

彼女が、たびたび、牛乳 (おけ) をもっておりた
緑の 牧場(まきば) が谷の 真中(まんなか) に見え、
鳩の巣のような一つの小さな 小屋(こや) が見える、
それは彼女の好きなこの世のただ一つの 住家(すみか)


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