エントリーNO.443
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社会学的方法の規準

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

実証主義の精神を承け、社会学の研究対象である社会的事実の明確な規定に筆を起こし、 アプリオリな観念や価値判断をしりぞけて事実を「もののように」研究することを基本的な規準と説く。 ウェーバー社会学の「価値判断からの自由」の命題とならんで社会学の認識態度に大きな影響を与えた。

発行
岩波文庫 1984年5月20日 第6刷
著者名
デュルケム  
タイトル
社会学的方法の規準 (しゃかいがくてきほうほうのきじゅん)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  第一章  社会的事実とはなにか
 社会的諸事実の研究にふさわしい方法がどのようなものであるかを問うに先立って、 このようによばれる事実がいったいなんであるかを知っておく必要がある。
 社会的事実という名称がかなり曖昧なままに用いられているだけに、この問題はゆるがせにできないのだ。 ふつう、社会の内部に生じ、ある程度の一般性をもって社会にかかわるなんらかのものをいくぶんかでも表現している現象があれば、 それらほとんどすべてを指すのに、この名称が用いられている。 しかし、この理屈でいくと、いわば、社会的とよばれえないような人間的事象は存在しないことになる。 それぞれの個人は、飲んだり、眠ったり、食べたり、考えたりするわけであるが、およそ社会はこれらの機能が規則的にはたされることに関心をもっている。 かりにそれらが社会的事実であるということになれば、社会学はそれ固有の対象をもたないことになり、その領域は生物学や心理学の領域と区別がつかなくなってしまおう。
 ところが、実際はといえば、およそ社会のうちには、他の自然諸科学の研究している現象からきわだった特徴をもって区別される、ある一定の現象群が存在している。


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