エントリーNO.429
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パリ・コミューン

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

普仏戦争は講和へ向かうも、パリの市民・労働者はコミューンを樹立する。 しかし、さまざまな集団やイデオロギーが交錯するコミューンは、政府軍の攻撃により72日間で壊滅する。 コミューンを祭りとしてとらえ、革命の倫理と美学、歴史性について理論的に考察した本書は、多くの分野に影響を与えた画期的な著作である。(全2冊)

発行
岩波文庫 2011年8月18日 第1刷
著者名
H.ルフェーヴル   
タイトル
パリ・コミューン (全2冊)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一部 スタイルと方法
  第一章 コミューンのスタイル
    「コミューンは、われわれの生命を奪った者の妻九二人にパ
    ンを送りとどけた。未亡人にとって軍旗は存在しない。共和
    国は、すべての貧者にはパンを、すべての孤児にはベーゼを
    あたえる」。           コミューン治安長官 
 一八七一年三月一八日の決定的な 事件(ジュルネ) 〔パリ蜂起〕のことを物語る前に、 さらにまた、その事件をその脈絡において----すなわち、その日に先立ち、またその日につづく諸事件のなかに----再現するよりも前に、 われわれはパリ・コミューンを本書のなかでどう見ているかを述べようと思う。 歴史の仕事としては、異例のやり方で、われわれはスタイルについての考察から始めよう。 これらの説明は、ついで明白にされるだろうこと、すなわち、分析の方法と叙述の方法、問題と結論を含むことになるだろう。
 歴史家の著作は、しばしば一種のフィクションをめざすものである。 著者はまず、自分が語ろうとすることを知らないかのような見せかけをする。


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