エントリーNO.419
岩波文庫を1ページ読書
歴史序説

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

乱世の十四世紀北アフリカにあって波瀾の人生を送った著者(1332-1406)は、 人間社会や文明の本質をふまえた歴史叙述の必要を痛感し、 「文明の学問」を創始した。 本書は大著『歴史』の序説部分に当り、歴史哲学・社会学・経済学などにわたる人間社会論(全4冊)

発行
岩波文庫 2001年6月15日 第1刷
著者名
イブン=ハルドゥーン  
タイトル
歴史序説 (れきしじょせつ) 全4冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    序論 歴史学の真価、その考え方の評価、歴史家が
     犯す各種の誤りの指摘、その誤りの起こる理由

  〔一〕
 歴史学は多くの違った考え方を持つ学問である。その有用な面は非常に多く、またその目的は高貴である。
 歴史学は、諸民族の性質や預言者たちの伝記や支配者たちの君臨した諸々の国家やその政治などに関して、 それらの過去における諸々の情況をわれわれに知らせる。 したがって、宗教上のことでも現世のことでも、あえて望むものは誰でも、歴史的な実例を手本とすることによって、有用な効果をあげることができる。
 歴史学は、無数の資料とさまざまな知識を必要とする。またよき洞察力と実証性を必要とする。 それは歴史家を真理に導き、過失と誤謬から守るものである。もし歴史家が、ただ伝達されているということだけで歴史的情報を信じ、 習慣の持つ原理や政治の基本的法則、文明の性質、人間社会を支配する諸条件などについて正しく判断せず、そのうえ、直接目撃した人による情報と伝聞による情報と、あるいは過去の資料と現代の資料とを比較して評価しないならば、歴史家はしばしばつまずき、踏みはずし、真理の公道から逸れてしまうであろう。


copyrighit (c) 2011 岩波文庫を1ページ読書