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エントリーNO.412
岩波文庫を1ページ読書
パスカルにおける人間の研究

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

三木哲学の基礎を築いた書。主体的真実性、パトス等、のちの著者(1897-1945)の根本概念はもとより、 全く異質な世界を問題にする唯物史観研究も、独自な弁証法も「構想力の論理」も「親鸞」も、 その萌芽はこの処女作にすべて含まれる。 問いの追求として、出発点は到着点を含むという。初学者のために懇切な注を付す。解説=桝田啓三郎

発行
岩波文庫 1984年3月10日 第4刷
著者名
三木 清 (みき きよし)  
タイトル
パスカルにおける人間の研究 (パスカルにおけるにんげんのけんきゅう)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一 人間の分析
  一
 パスカルの思想において中心的意義を有するものは「人間」の概念である。 人間に関する独自な方法にもとづく特殊な見方が彼の思想に鮮かな個性と光彩とを与えた。 彼は激しさと優しさ、恐れと憐みとをもって、人間とは何であるか、という問いを追っている。 しかしながらかく問うことは永い歳月にわたって学問の前景へ持ち出されなかったのである。 この忘れられた問を想い起すことは現在の我々の学問にとって 退引(のっぴき) ならぬ緊張事であろう。 パスカルは『パンセ』の一節でいう、「私はながいあいだ抽象的な学問の研究に時を過した、そしてこの研究ではひとは僅かの交際しか得られぬということがこれに対して私に嫌悪のこころを懐かせた。


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