エントリーNO.405
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福沢諭吉の哲学

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

「実学」として知られる福沢の学問観の真の革命性を説く「福沢における「実学」の展開」や、 多面的で変幻自在な彼の発言の根底にある思考方法を解明した「福沢諭吉の哲学」など、 丸山眞男(1914-96)の福沢諭吉についての論説七篇を収録。

発行
岩波文庫 2001年6月15日 第1刷
著者名
丸山 眞男 (まるやま まさお)  
タイトル
福沢諭吉の哲学 (ふくざわゆきちのてつがく) 他6篇  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    福沢諭吉の儒教批判
  一 まえがき
  二 前半期の儒教批判
  三 後半期の儒教批判
  四 あとがき----日清戦争と儒教批判
    一 まえがき
 幕末から明治初期にかけての最大の啓蒙思想家、福沢諭吉がその「洋学」を以て一方新日本建設の素材となるべき欧州市民文化の移入普及と、 他方国民に深く根を下した封建意識の打破とに、 渾身(こんしん) の力を注いだとき、 そうした彼の意図の前に最も 強靭(きょうじん) な障壁として立ちはだかったのは、実に儒教思想であった。 むろん一つの纏った思想体系としての儒教が我が国民の間にどれ程の広汎な範囲に於て受容され、その日常生活に対して実質的にどれ程の規制力を持ったかという事になると、 儒教の最盛期とされる徳川時代でもかなり問題であり、また思想界のみに就いて見てもそれが (ほとん) ど独占的地位を占めたのは徳川前期だけであるが、 儒教の強力性はその様な体系としての影響力にあるのではなく、むしろ儒教の諸々の理念が封建社会の人間にとっていわば思惟範型(Denkmodelle)となっていたという点に存する。


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