エントリーNO.381
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創造的進化

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

ほとんど半世紀以上にわたるベルクソンの全思索は、いっさいを機械化・物質化しようとする近代の科学的・実証主義的知性に抗して、 どこまでも生命と精神との独自性を擁護しようとするにあった。本書は、生命的存在の深い根源を「生命のはずみ」(エラン・ヴィタル)なるものによって把握しようとした画期的な著作である。

発行
岩波文庫 1984年1月20日 第5刷
著者名
ベルクソン  
タイトル
創造的進化 (そうぞうてきしんか)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一章 生命の進化について
          機械性と目的性
 存在のうち私たちにもっとも確かで何よりもよく知られているものは、疑いもなく私たちの存在である。 その他の事物はどれをとってみても私たちがそれについて抱く観念をひとは外的で皮相的だと判断するかも知れないのにたいして、 自分自身をなら私たちは内的に奥底から覚知するのである。 何をそのさい私たちは確認するか。「存在する」という語は、この取っておきの場合に、的確にはどのような意味であるのか。 以前の一研究の結論をここで簡単に思い起こしてみよう。
 私はまず自分が状態から状態へと移ってゆくことを確認する。暑がるか寒がるか、浮きうきしているか沈んでいるか、 仕事をしているか何もしないか、周囲を注視するか他のことに気をとられるか私はしている。 さまざまの感覚、感情、意欲、表象----そうした様態が私の存在を分ちあい、これをつぎつぎに色づける。 つまり、私はたえず変化しているのである。しかしながら、これではまだ言いたりていない。 変化はひとがはじめに信じえたよりもさらにさらに根深い。
 実さい、私は自分の諸状態がそれぞれひとつのまとまりをなしているかのように語っている。 なるほど私は、自分は変わるという。しかし、その変化は状態から状態への移りゆきのところに宿っているように、私には見える。


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