エントリーNO.379
岩波文庫を1ページ読書
史記を語る

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

司馬遷の著した中国最初の正史『史記』は、 古代中国の社会と人間を生き生きと描きだし、 日本でも広く親しまれてきた。 中国史研究に多大な業績をのこした著者が、 六十年にわたる『史記』研究にもとづき、『史記』の成り立ちと構造の全容の解明を試みた名著。 『史記』の世界への格好の入門書。「『史記』の中の女性」を併収。
(解説=吉川忠夫)

発行
岩波文庫 1996年5月24日 第2刷
著者名
宮崎 市定 (みやざき いちさだ)  
タイトル
史記を語る (しきをかたる)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    T 『史記』読法
      ----『史記』はどう読まれてきたか----
 中国的読書法
 叙事の文に対しては序はいらぬ、というのが清代の有名な史論家、 章学誠(しょうがくせい) の言葉である。 事実を記した文章は誰が読んでも分かるから、読んだ通りに理解し、読んだ通りに味わえばよいので、 (そば) からかれこれ説明する必要はない、というわけである。
 だがそれも『史記』のような二千年以上も前の著述、しかも中国という外国の書物である場合は、少し事情が違う。 それは中国人にとってすら、既に遠い過去の、従って現在とは異なった社会における記録になっており、これを読むためには何らかの案内書が必要になってきているのだ。 ところでどんな種類の案内書が適当かということが問題である。
 中国における学問のやり方は、全体を綜合してその本質を考えるというよりも、個々の細部の理解に重点を置く。


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