エントリーNO.368
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日本の弓術

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

的にあてることを考えるな、ただ弓を引き矢が離れるのを待って射あてるのだ、 という阿波師範の言葉に当惑しながら著者(1884-1955)は5年間研鑽を積み、その体験をふまえてドイツに帰国後講演を行なった。 ここには西欧の徹底した合理的・論理的な精神がいかに日本の非合理的・直感的な思考に接近し遂に弓術を会得するに至ったかが冷静に分析されている。

発行
岩波文庫 1984年2月20日 第3刷
著者名
オイゲン・ヘリゲル  
タイトル
日本の弓術 (にほんのきゅうじゅつ)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    一
 「弓術」と言えば、弓を一種のスポーツの意味にとり、したがって術をスポーツの能力の意味にとるのが、 まず手ぢかなところではないであろうか。 また日本の弓術家の驚嘆すべき業績について、その一端を知ることができると期待しはしないであろうか。 日本の弓術家には、弓と矢の使用法に関して、本当に中絶したことは一度もない古い立派な伝統に頼りうるという便益がある。 現にこの極東において、数世代以来ようやく戦時用としては近代的武器が古来の武器を駆逐したことは事実であるが、 そのため古来の武器に親しむ風が絶えたわけではなく、それはさらに普及して、その後ますます広い範囲に行なわれている。


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