エントリーNO.352
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形而上学

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

哲学のもっとも根本的な問題の探求をめぐるアリストテレス(前384-前322)の一群の論文を集録したもの。 千数百年にわたって西洋の世界観に決定的な影響を与えたばかりでなく、 西洋哲学の多くの基本概念を生み出した著作で、そこに示される問題分析の態度や発展流動する弁証法的思考方法は永久に研究者の模範となるものである。

発行
岩波文庫 1983年11月10日 第25刷
著者名
 アリストテレス  
タイトル
形而上学 (けいじじょうがく) 全2冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    A [第一巻]
  第一章
 すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する。その証拠としては感官知覚[感覚]への愛好があげられる。 というのは、感覚は、その効用をぬきにしても、すでに感覚することそれ自らのゆえにさえ愛好されるものだからである。 しかし、ことにそのうちでも最も愛好されるのは、眼によるそれ[すなわち視覚]である。 けだし我々は、ただたんに行為しようとしてだけでなく全くなにごとを行為しようともしていない場合にも、見ることを、言わば他のすべての感覚にまさって選び好むものである。 その理由は、この見ることが、他のいずれの感覚よりも最もよく我々に物事を認知させ、その種々の差別相を明らかにしてくれるからである。
 ところで、動物は、(1)自然的に感覚を有するものとして生まれついている。(2)この感覚から記憶力が、或る種の動物には生じないが、或る他の種の動物には生じてくる。 そしてこのゆえに、これらの動物の方が、あの記憶する能のない動物よりもいっそう多く利口でありいっそう多く教わり学ぶに適している。 ただし、これらのうちでも、音を聴く能のない動物は、利口ではあるが教わり学ぶことはできない、 ----たとえば蜂のごときが、またはその他なにかそのような類の動物があればそれが、そうである、---- しかし、記憶力のほかにさらにこの聴の感覚をもあわせ有する動物は、教わり学ぶこともできる。


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