エントリーNO.350
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デカルト的省察

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

デカルトの精神を復権させつつ、デカルトを超えて超越論的現象学へと進む、「新デカルト主義」の主張。 1929年のパリ講演「超越論的現象学入門」をもとに、明証性の学としての現象学を叙述し、独我論とその克服としての間主観性の問題を俎上に乗せ、 異文化や形而上学の問題への道を示した、フッサール晩年の主著。

発行
岩波文庫 2001年2月16日 第1刷
著者名
フッサール  
タイトル
デカルト的省察 (デカルトてきしょうさつ)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    序論
  第一節 デカルトの省察は哲学的な自己反省の原型である
 ここフランスの地の学問にもっとも由緒あるこの場所で、超越論的現象学[と私が呼ぶ哲学]について語ることができるのを、私はたいへん嬉しく思うが、それには特別な理由がある。 と言うのも、フランスの偉大な思想家ルネ・デカルトは、その省察によって超越論的現象学に新たな刺激を与え、すでに生まれつつあった現象学が超越論哲学という新しい形態へと変革を遂げるよう、直接働きかけたからである。 したがって、たとえ超越論的現象学が、まさにデカルト的な動機を徹底して展開するために、デカルト哲学のよく知られている学説全体をほとんど拒否せざるをえないことになろうとも、この超越論的現象学を、新デカルト主義と呼ぶことができる。
 このような事情なので、デカルトの『第一哲学についての省察』に潜む動機がなぜ永遠の価値を持つと考えるか、について話すことから始めて、どのような変革と改造のなかで超越論的現象学の方法と問題設定が生まれてきたか、 特徴づけることへと話を続けていっても、おそらく皆さんの関心を得られるものと思う。


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