エントリーNO.339
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ヨーロッパ文化と日本文化

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

イエズス会宣教師ルイス・フロイス(1532-97)は、35年間日本での布教に努め、 長崎で生涯を終えた。その間、当時の日本の社会を細かく観察し、ヨーロッパ文化と比較・対照して記録した。 筆は衣食住、宗教生活、武器武具から演劇・歌謡等々多方面におよぶ。 貴重な資料であるだけでなく、現代の我々に様々な問題をよびさまさずにはおかない。

発行
岩波文庫 1991年7月10日 第2刷
著者名
ルイス・フロイス   
タイトル
ヨーロッパ文化と日本文化 (ヨーロッパぶんかとにほんぶんか)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一章 男性の風貌と衣服に関すること
1 ヨーロッパ人は概して身長が高く体格が良い。日本人は概して身長も体格もわれわれに劣っている。
 現在の日本人の身長、体格は一六世紀とはかなり相違があると思われるので、 当時の史料を参考に引いておこう。 ギド・グァルチェリはローマを訪れた少年使節について「その身長中くらいよりもやや低い。 これは日本人の本性によるものであって、日本人は一般に長大に及ぶことはない。」と記している。 この時彼らは十八歳前後の青年であった。
2 ヨーロッパ人は大きな目を美しいとしている。日本人はそれをおそろしいものと考え、 涙の出る部分の閉じているのを美しいとしている。
 ヨーロッパ人の目はふつう上瞼の脂肪組織が少ないため、二重瞼が多く、 睫毛が長く見え、また上瞼が凹んだ影になる。そして目が大きく開いて、 内眦(ないせい) (目頭)に紅い涙阜が現われる。 日本人の目は、上瞼の脂肪が多く、眉弓の張りが少なく、鼻根部が低いので、一重瞼が多く、睫毛があまり見えない。 グァルチェリは使節たちの目が小さく眼差が鋭いと書いている。


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