エントリーNO.336
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星界の報告

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

1610年冬、ガリレイ(1564-1642)は30倍に拡大された星界に初めて対面する。 まず月面に、そしてこれまで未知であった木星の周囲を回転する4つの惑星の運動の観測へと筒眼鏡は向けられる。 精緻な観察が卓抜な想像力と結びつき、世界をゆるがせた推論は仮借なく押しすすめられる。

発行
岩波文庫 1984年4月20日 第7刷
著者名
ガリレオ・ガリレイ  
タイトル
星界の報告 (せいかいのほうこく) 他1篇  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

新しい筒眼鏡による、月面・銀河・星雲・無数の恒星、さらに、これまで未知であったメディチ星という名の4つの惑星、 についての最近の観測をふくむ
    天文学的報告
 この小論においては、自然研究者の観察と思索とに対して、まことに重要な問題が提起される。 主題そのもののすばらしさのゆえに、過去の時代に耳にしたことのない新しさゆえに、この問題そのものをわたしたちの感覚に示した器械のゆえに、 わたしは重要だというのである。
 これまで、おびただしい数の恒星が、自然のままの視力によって感知されていた。 それに加えて、かつては未知であったほかの無数の星、古くから知られていた星の一〇倍以上もの星が人間の眼にみえるようになった。 これはたしかに重要な問題といえよう。
 地球半径の六〇倍も離れている月の本体が、わずか二倍しか離れていないように近くにみえる。 美しい、心をそそる事実ではないか。いいかえれば、肉眼でみたときより、直径は約三〇倍、 面積は約九〇〇倍、体積はほとんど二七〇〇〇倍も大きくみえるわけである。


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