エントリーNO.327
岩波文庫を1ページ読書
パイドン

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

人間のうちにあってわれわれを支配し、イデアを把握する力を持つ魂は、 永遠不滅のイデアの世界と同族のものである。 死は魂の消滅ではなく、人間のうちにある神的な霊魂の肉体の牢獄からの解放である---- ソクラテスの最期のときという設定で行われた「魂の不死」についての対話。 『国家』へと続くプラトン中期の代表作。

発行
岩波文庫 1998年2月16日 第1刷
著者名
プラトン  
タイトル
パイドン ----魂の不死について----  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    パイドン  ---魂の不死について---
   登場人物
  エケクラテス  クリトン
  パイドン    アポロドロス
           クサンティッペ
  ソクラテス   刑務委員の下役
  ケベス     その他
  シミアス

 紀元前三九九年の春、ソクラテスは「国家公認の神々を拝まず、青年を腐敗させる」という罪状で告発され、 アテナイの牢獄で刑死した。 刑死の日の早朝別れを告げに牢獄に集まった弟子たちと、ソクラテスは日暮れまで魂の不死について深く厳しい哲学的対話を交わしたが、 その内容が本対話篇である。 この対話はその場に居合わせたパイドンによりプレイウスの人エケクラテスに伝えられた、という形で対話篇は進行する。
    一  序 曲
 エケクラテス  パイドン、あなた自身があの日ソクラテスのお側にいたのですか。 あの方が牢獄で毒をあおいだあの日に。それとも、だれか他の人からその話を聞いたのですか。
 パイドン  私自身がそこにいました。エケクラテス。
 エケクラテス  それでは、いったい、あの方は死のまえにどんなことを話されたのですか。 また、ご最期の様子はどのようなものでしたか。私としては、ぜひお聞きしたいのですが。 というのも、近頃ではプレイウスの人でアテナイを訪れる者はほとんどいませんし、また、 他国の人で、そのことについて私たちになにか確かな情報をもたらすことができるような人は、 ながい間一人もアテナイから到着してはいないのです。じっさい、私たちに知らされたことは、 あの方が毒をあおいで亡くなられたということだけで、その他のことについては何ひとつ聞くことができなかったのです。
 パイドン  すると、裁判がどのように行われたかも、ご存じなかったのですか。
 エケクラテス  いや、そのことは私たちに知らせてくれた人がいるのです。


copyrighit (c) 2011 岩波文庫を1ページ読書