エントリーNO.313
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人間とは何か

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

人生に幻滅している老人は、青年にむかって、人間の自由意志を否定し、 「人間が全く環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎない」ことを論証する。 人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、 マーク・トウェイン(1835-1910)はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。 当初匿名で発表された晩年の対話体評論。

発行
岩波文庫 1984年5月16日 第13刷
著者名
マーク・トウェイン   
タイトル
人間とは何か (にんげんとはなにか)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    一  人間即機械・人間の価値
 老人と青年が話していた。老人は、人間とは 畢竟(ひっきょう) 機械にしかすぎぬと主張した。 青年の見解は反対であった。で、もっと詳しく説明してもらいたい、なぜそう主張するのか、その理由を聞かせてほしい、というのだった。
老人  では、君、蒸気機関って奴は、何が材料でできてると思う?
青年  鉄、鋼鉄、真鍮、ホワイト・メタル(主に錫を主とした一種の合金。軸受をつくるのに使われる。)等々といった、まずそんなものでしょうね。
老人  じゃ、それらはどこで見つかる?
青年  岩石の中でです。
老人  純粋なものとしてかね?
青年  いや----原鉱石としてです。


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