エントリーNO.312
岩波文庫を1ページ読書
アレクサンドロス大王東征記

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

二〇歳でマケドニア王に即いたアレクサンドロス(前三五六-前三二三)はギリシアを支配し、 シリア・エジプト・ペルシアを次々に征服した。 二世紀ギリシアの文人政治家が描く、強烈なカリスマ性を持った大王の東征記。(下)に「インド誌」を付す。

発行
岩波文庫 2001年6月15日 第1刷
著者名
アッリアノス   
タイトル
アレクサンドロス大王東征記 (アレクサンドロスだいおうとうせいき) 全2冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一巻
   序言
 私はピリッポスの子アレクサンドロスの事績を記録するにあたってまず、ラゴスの子プトレマイオスとアリストブロスの子アリストブロスとが、 ともにおなじことを書きのこしているばあいには、それをまったく真実のこととして書きとめることにする。 ただし両者の伝えが一致しないばあいには、私としてはそのうち比較的信頼がおけて、しかも記述するに足ると思われた方を選ぶことにした。 実際アレクサンドロスについては、さまざまな記録者がさまざまなことを書いてきた。 これほど多くの記録者に書かれながら、これほどにも彼らの伝えるところがたがいにまちまちで一致しない人物もないものだ。 しかしその物語るところにおいて、比較的信頼がおけると、この私に思われたのは、さきに挙げたプトレマイオスとアリストブロスのふたりなのである。
 アリストブロスはアレクサンドロス王の遠征に随行した人物だし、プトレマイオスの方も王の側近にあって、王と征旅をともにしたうえ、 本人自身も王者として、虚言を弄することは余人にもましてこれを不名誉とした人物だからだ。


copyrighit (c) 2011 岩波文庫を1ページ読書