エントリーNO.311
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旧約聖書 出エジプト記

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

エジプトで迫害を受けていたイスラエルの民は、モーセに率いられ、 神に導かれてその地をのがれシナイの野に至る。 旧約の中心的な書であり、同時に「モーセの生い立ち」や「十戒」等々によって我々になじみ深い書でもある。 本文庫版の旧約各書は「創世記」以下厳密な訳文と訳者多年の研究成果を凝集した詳細な注釈。 解説を特色とする。

発行
岩波文庫 1984年4月10日 第18刷
訳者
関根 正雄 (せきね まさお)  
タイトル
旧約聖書 出エジプト記 (きゅうやくせいしょ しゅつエジプトき)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   一  エジプト人の圧制(一ノ一-一四)
 第一章  エジプトにやって来たイスラエルの子らの名前は次のとおり、 ----おのおのヤコブと一緒に家ごとやって来たのだが----ルベン、シメオン、レビとユダ、イサカル、ゼブロンとベニヤミン、 ダンとナフタリ、ガドとアセル。ヤコブの胎から出た者ばかり七十人。ヨセフだけは前からエジプトにいた。
 その後ヨセフと彼のすべての兄弟、その世代の者はみな死んだ。しかしイスラエルの子らはふえ増して、非常な数になり、甚だしく強くなった。 国中に一ぱいになったのである。
 ところでヨセフを知らない新しい王がエジプトの支配者になった。彼はその民に向って言った、 「御覧、イスラエルの子らは一つの民になっている。われわれより数も多く強いのだ。さあ、われわれは彼らに対して賢明な処置をとらなければならない。 さもないともっと数がふえて、戦争が起こった場合、彼らが敵方についてわれわれと戦い、 この国を 牛耳(ぎゅうじ) るようにでもなったら大変だ」。 そこで人々はイスラエル人の上に 夫役(ぶやく) のための監督をおき、強制労働を強いてこれを圧迫しようとした。 イスラエル人はパロのために物質貯蔵用の町、ピトムとラムセスを建てた。 しかし彼らが圧迫すればするほど、いよいよ数がまし、いよいよふえたので、人々はイスラエルの子らのまえに恐れた。


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