エントリーNO.310
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旧約聖書 ヨブ記

解説文(「岩波文庫解説総目録」或いは、表紙より引用)

神を畏れ敬うことこの上なく深く、道徳的にも信仰においても非の打ちどころのない暮らしを続けてきたヨブに、 神はつぎつぎと苛酷な試練を下した。 罪なくして受けねばならないこの重荷の意味を問うてヨブは苦悩する。 神の義に人間の義を対決させ問いつめる本書は、旧訳の中でもきわだった特色を持ち、 文学、哲学等に与えた影響も特に強い。

発行
岩波文庫 1984年4月10日 第15刷
訳者
関根 正雄 (せきね まさお)  
タイトル
旧約聖書 ヨブ記(きゅうやくせいしょ ヨブき)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    序曲
  一 ヨブの敬虔と幸福(一ノ一-五)
 第一章  ウツの地にヨブという名の人がいた。その人は全くかつ直く、神を畏れ、悪を遠ざけた。 彼に七人の 息子(むすこ) と三人の 息女(むすめ) が生まれた。 その財産は羊七千頭、 駱駝(らくだ) 三千頭、牛五百 (くびき) 、 雌 驢馬(ろば) 五百頭、 僕碑(ぼくひ) の数はおびただしく、 その人は東の子らの中、最も大いなる者であった。
 その息子たちはおのおの自分の日に家で宴を設け、人を遣わして三人の姉妹をも呼んで、 一緒に食べたり飲んだりするのが習慣であった。 その宴の日々が一巡する毎にヨブは彼らを呼びよせて、彼らを聖別した。すなわち朝早く起きて、 彼らの数に応じて燔祭をささげた。というのはヨブは、わたしの息子たちはあるいは罪を犯し、心の中に神を呪ったかもしれぬ、と思ったからである。 ヨブはいつもこのようにした。


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