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エントリーNO.23
岩波文庫を1ページ読書

           解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)
  あまりにも名高いこの不朽の名作の表題レ・ミゼラブルとは「悲惨な人々」という意味。 ユゴーは主人公ジャン・ヴァルジャンの波瀾の一生を描きつつ、 貧しい民衆に寄せる限りなき愛情、 そして人類社会の進歩へのゆるがぬ確信を表現したのである。 300枚に及ぶ原書挿絵を収録。

発行
 岩波文庫 2007年9月5日 第41刷
著者名
 ユーゴー
タイトル
 レ・ミゼラブル 全4冊
                    上記著作より、本文書き出し1ページを引用

 第1編  正しき人
   一 ミリエル氏
 一八一五年に、シャール・フランソア・ビヤンヴニュ・ミリエル氏はディーニュの司教であった。 七十五歳ばかりの老人で、一八〇六年以来、ディーニュの司教職についていたのである。
 彼がその教区に到着したころ、彼についてなされた種々な (うわさ) や評判をここにしるすことは、 物語の根本に何らの関係もないものではあるが、すべてにおいて正確を期するという点だけででも、 おそらく無用のことではあるまい。 (うそ) にせよ (まこと) にせよ、 人の身の上について言わるることは、その人の 生涯(しょうがい) のうちに、 特にその運命のうちに、往々実際の行為と同じくらいに重要な位置を占むるものである。 ミリエル氏はエークスの高等法院の評議員のむすこであって、顕要な法官の家柄だった。 伝えらるるところによれば、彼の父は、彼に地位を継がせようとして、当時、法院関係の家庭にかなり広く行われていた習慣に従い、 彼をごく早く十八歳か二十歳かの時に結婚さしたそうであるが、彼はその結婚にもかかわらず、多くの噂の種をまいたとかいうことである。 (せい) は少し低い方であったが、品位と優美と才気とを備えたりっぱな男であった。

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