エントリーNO.295
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カンディード

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

人を疑うことを知らぬ純真な若者カンディード。 楽園のような故郷を追放され、苦難と災厄に満ちた社会へ放り出された彼がついに見つけた真理とは---。 当時の社会・思想への痛烈な批判を、主人公の過酷な運命に託した啓蒙思想の巨人ヴォルテール(1694-1778)の代表作。 作者の世界観の変遷を跡づける5篇のコントを併収。

発行
岩波文庫 2005年2月16日 第1刷
著者名
ヴォルテール  
タイトル
カンディード 他5篇  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    ミクロメガス
      哲学的物語
  第一章  シリウス星団の一住民、土星という名の惑星を旅する
 シリウスという名の星の周りを回転する惑星の一つに、すこぶる才気あふれる青年がいた。 わたしはこの青年が最近われわれのちっぽけなアリの巣へ旅をした折、光栄にも彼と知り合うことになった。 彼の名はミクロメガスだったが、それはすべての巨大な人間にいかにもふさわしい名ではないか。 彼は身の (たけ) 八リューだった。 八リューとはつまり、土地測量の一歩の歩幅を五ピエとすると、二万四千歩である。
 つねに公衆に有益な人士である代数学者なら、早速そのうちの数人がペンを取り、 シリウスの国の住人ミクロメガス氏は頭の天辺から爪先まで二万四千歩すなわち十二万ピエ・ド・ロワだけあり、 また地球の住民であるわれわれはほぼ五ピエしかなく、われわれの天体の周囲は九千リューであるから、 くり返しを承知で言えば、ミクロメガス氏を生んだ天球の円周は、正確には間違いなくわれわれの小さな地球の二千百六十万倍であるはずである、ということを証明するに違いない。


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