エントリーNO.294
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大学教育について

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

大学とは職業教育の場ではない。専門知識をよりよく使うためにも一般教養教育が必要である。 文学、自然科学、社会科学、道徳教育・宗教、芸術など一般教養科目についての意義を述べ、 真理に基づいて正しく行動する意志の涵養を説く。 大学教育の原点と理念を謳う名高きセント・アンドルーズ大学名誉学長就任講演。
(解説=竹内洋)

発行
岩波文庫 2011年7月15日 第1刷
著者名
 J.S.ミル  
タイトル
大学教育について (だいがくきょういくについて)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    一  大学教育の任務    一般教養教育の重要性
 大学が国民教育のなかで果たすべき本来の役割については、十分に理解されていると思われます。 少なくとも大学がこうあってはならないということについては、ほとんどの人々の間で意見の一致がみられます。 大学は職業教育の場ではありません。 大学は、生計を得るためのある特定の手段に人々を適応させるのに必要な知識を教えることを目的とはしていないのです。 大学の目的は、熟練した法律家、医師、または技術者を養成することではなく、 有能で教養ある人間を育成することにあります。 専門職の養成のための公的機関があるのは至極当然であり、したがって、法律学校、医学校があるのは結構なことです。 そしてさらに、工科学校や産業技術を学ぶ学校があれば、なおさら結構なことでしょう。 このような学校制度をもつ国々はその制度をもつことによって一層発展することでしょう。 しかも、これらの学校をいわゆる本来の意味での教育のために設立された施設としての大学と同一の場所に、 そして同一の監督下に置くことには多少の利点もあるにはあるでしょう。


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