エントリーNO.286
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我と汝・対話

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

孤高の宗教哲学者ブーバー(1878-1965)によれば、世界は人間のとる態度によって<われーなんじ><われーそれ>の二つとなる。 現代文明の危機は後者の途方もない支配の結果であって、<われ>と<なんじ>の全人格的な呼びかけと出会いを通じて人間の全き回復が可能となる。 対話的思惟の重要性を通じて人間の在り方を根元的に問うた主著2篇。

発行
岩波文庫 1984年5月16日 第8刷
著者名
マルティン・ブーバー  
タイトル
我と汝・対話 (われとなんじ・たいわ)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一部
 世界は人間のとる二つの態度によって二つとなる。
 人間の態度は人間が語る根源語の二重性にもとづいて、二つとなる。 根源語とは、単独語ではなく、対応語である。
 根源語の一つは、<われーなんじ>の対応語である。
 他の根源語は、<われーそれ>の対応語である。この場合、<それ>の代わりに<彼>と<彼女>のいずれかに置きかえても、 根源語には変化はない。
 したがって人間の<われ>も二つとなる。なぜならば、根源語<われーなんじ>の<われ>は、 根源語<われーそれ>とは異なったものだからである。

 根源語は、それをはなれて外にある何かを言い表わすのではなく、根源語が語られることによって、存在の存立がひき起される。
 根源語は、存在者によって語られる。


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