エントリーNO.278
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ギリシア神話 アポロドーロス

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

従来紹介されてきたギリシア神話は、のちのヘレニズム時代の感傷主義の影響を受けた甘美な物語が多い。 ここにアポロドーロスが伝える神話伝説は純粋に古いギリシアの著述を典拠とした、いわばギリシア神話の原典ともいうべきものである。 西欧文化のすみずみにまでしみわたっているギリシア神話の系統的・包括的理解に絶好の書。

発行
岩波文庫 1994年4月18日 第1刷
訳者
高津 春繁 (こうず はるしげ)  
タイトル
アポロドーロス ギリシア神話 (アポロドーロス ギリシアしんわ)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

T  天空(ウーラノス) が最初に全世界を支配した。 大地(ゲー) (めと) って「 百手巨人(ヘカトンケイル) 」と呼ばれるブリアレオース、 ギュエース、コットスを生んだ。 その大きさと力は比類なく、おのおの一百の手と五十の頭とをもっていた。 これらの巨人の後に 大地(ゲー) は彼にキュクロープスたち、すなわちアルゲース、ステロペース、ブロンテースを生んだ。 そのおのおのは額に一眼をもっていた。 しかし 天空(ウーラノス) は彼らを縛してタルタロスへと投げ込んだ。 これは地獄の中の暗陰な、大地と空との距離だけ大地より離れている所である。 さらに彼は 大地(ゲー) によってティターン族と呼ばれる子供たち、 すなわちオーケアノス、コイオス、ヒュペリーオン、クレイオス、イーアペトス、および末弟クロノスを、 またティーターニスと呼ばれる娘たち、すなわちテーテュース、テミス(=法)、ムネーモシュネー(=「記憶」)、ポイべー、ディオーネ、ティアーを生んだ。
 大地はタルタロスに投げ込まれた子供たちの破滅に心平かならず、 ティターンたちにその父を襲うように説き、クロノスに金剛の斧を与えた。 彼らはオーケアノス以外は父を襲った。そしてクロノスは父の生殖器を切り放ち、海に投じた。 流れる血の滴りより 復讐女神(エリーニコエス) アレークトー、ティーシポネー、メガイラが生まれた。 父の支配権を 簒奪(さんだつ) し、タルタロスに投入せられた兄弟を連れ戻しクロノスに支配権を (ゆだ) ねた。 しかし彼は再び彼らを縛してタルタロスに幽閉し、姉妹のレアーを妻とした。 大地(ゲー) 天空(ウーラノス) とが彼に予言して、 自分の子によって支配権を奪われるであろうと言ったので、彼は生まれた子供たちを () み込むを常としていた。


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