エントリーNO.276
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サロメ

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

妖しい美しさで王エロドの心を奪ってはなさぬ王女サロメ。 月光のもとでの宴の席上、七つのヴェイルの踊りとひきかえに、 彼女は預言者ヨカナーンの生首を所望する。 ワイルド(1856-1900)が聖書に取材したこの一幕悲劇は、 幻想の怪奇と文章の豊麗さによって、世紀末文学の代表的傑作と言われている。 有名なビアズレーの挿絵をすべて収録。

発行
岩波文庫 2000年5月16日 改版第1刷
著者名
ワイルド  
タイトル
サロメ  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    サロメ
 場面はエロドの宮殿の広い露台。宴会場より高くしつらへてある。 兵士たちが露台の手摺にもたれかゝつてゐる。右手に巨大な階段。 左手奥にはブロンズ製の緑色の囲ひをした古めかしい水槽がある。月の光。

若きシリア人  いかにも美しい、今宵の王女サロメは!
エロディアスの侍童  みろ、あの月を。不思議な月だな。どう見ても、墓から脱け出して来た女のやう。 まるで死んだ女そつくり。どう見ても、 (しかばね) をあさり歩く女のよう。
若きシリア人  まつたく不思議だな。小さな王女さながら、黄色いヴェイルに、銀の足。まさに王女さながらの、その足が小さな白い鳩のやう---- どう見ても、踊つてゐるとしか思はれぬ。
エロディアスの侍童  まるで死んだ女のやう。それがまたたいそうゆつくり動いてゐる。


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