エントリーNO.274
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被差別部落一千年史

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

日本民族の諸源流から説きおこし、古代天皇制国家の下での身分制度の創出を論じた第1章から、 水平社創立と水平運動の興隆まで、身分制の底辺におかれて差別されてきた被差別民衆の歴史を述べた先駆的労作(1924)。 戦前の社会主義運動で活躍した高橋貞樹(1905-35)が弱冠19歳で書き上げた人間解放への情熱あふれる1冊。

発行
岩波文庫 2000年2月25日 第16刷
著者名
高橋 貞樹 (たかはし さだき)  
タイトル
被差別部落一千年史 (ひさべつぶらくいっせんねんし)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一編 特殊部落の歴史的考察
  第一章 特殊部落の史的背景
  一 特殊部落民の回顧と展望
 全国に散在するわが特殊部落民の病苦は長い。それは歴史的には封建制治下の、三百年のみならず、 (はる) かに (のぼ) って一千年の昔、 古代奴隷制度の時代にまで達する。
 歴史は開放の過程である。
 在来の人類史は、無産者と非圧迫者との血と涙とをもって書き綴られている。 紀元前五万年を (さかのぼ) る古石器時代、 二万年を遡る新石器時代の 悠久(ゆうきゅう) なる人類の歴史を 辿(たど) って、 人間は動物界から釈放されんとする肉体的 苦悶(くもん) をつづけ、 無慈悲なる自然の訓練を受けて動物界から (はな) たれ、 さらに数万年間、人間社会の基礎を () えるために戦った。 しかも地上には、 (のろ) われたる奴隷の反逆の叫び声と、 開放への途を (あえ) ぎつつ引く 鉄鎖(てっさ) の音とが強く響く。 そこには正義の理想を達しがたき (はる) かなる惑星のごとく照らしたるに過ぎなかったが、 しかも圧迫者の (むち) の下にちぬられつつ、人類は解放の過程を進んで来た。
(サイト管理人 注 「ちぬられつつ」の「ちぬら」旧漢字見当たらず。)


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