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エントリーNO.270
岩波文庫を1ページ読書
失楽園

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

「一敗地に塗られたからといって、それがどうしたというのだ? すべてが失われたわけではない」かつては神にめでられた大天使、 いまは反逆のとが故に暗黒の淵におとされたサタンは、 麾下の堕天使の軍勢にむかってこう叱咤激励する。 神への復讐はいかにして果さるべきか----。 イギリス文学の最高峰に位する大長編叙事詩の格調高く読みやすい現代語訳。

発行
岩波文庫 1994年4月15日 第25刷
著者名
ミルトン  
タイトル
失楽園 (しつらくえん) 全2冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

 【梗概】 この第一巻は先ず簡単にこの詩の全体の主題、即ち、人間の叛逆と、その結果彼がそれまで置かれていた 楽園(パラダイス) が失われたことを呈示する。 ついで、彼の堕落の主要な原因であった蛇、というより蛇に宿ったサタンのことに触れる。 サタンは神に (そむ) き、 (おびただ) しい天使の軍勢を味方に引き入れたが、 神の命令によってそれらの一味徒党もろとも天国から追放され、大いなる深淵に落されたのであった。 その間の経緯は省略するとして、この詩はそのあと直ちに事件の核心に迫り、 輩下の天使たちと共に今や地獄に () ちたサタンの状況を示す----ただし地獄といっても、 地球の中心にあるものとしてではなく(未だ天と地は 創造(つく) られてはいなかったし、 いわんや呪われてもいなかったことは確実だと思われるからだ)、何よりも混沌と呼ぶのにふさわしいいや果ての暗黒の世界の一角にあるものとして、ここでは描かれている。 雷霆(いかずち) にうたれ呆然自失の (てい) であったサタンは、 天使たちと共にこの地獄の炎々たる火の池に横たわっていたが、暫くして、潰滅的な打撃から立ち直るといった様子で、 ようやく元気をとりもどし、階級と権威の点で自分の次に位する者が傍らに横たわっているのを見、この者を呼び起す。 彼らは自分たちの悲痛な転落について語り合う。 ついでサタンは、同じようにそれまで潰滅状態で横たわっていた 麾下(きか) の全軍勢を呼び起す。 一同、立ち上がる。その人数と陣容。主な指導者らの名が、その後カナン及びそれに隣接する諸国で知られるにいたったもろもろの偶像の名に準拠してあげられる。 サタンは彼らに向かって話しかけ、天国を再び手中に収める希望がまだ残されている、といって慰める。 しかし、最後に、天国における昔からの予言乃至は (うわさ) によれば、 やがて新しい世界と新しい被造物が 創造(つくら) れるはずだ、 と彼らに告げる(われわれの眼に映っているこの天地が 創造(つくら) れる遥か以前から天使は既に存在していた、 というのが昔の多くの教父たちの意見であったからだ)。この予言の真否を確かめ、かつ、そうするのにはどういう措置を決定すべきかについて、 サタンは全体会議を開くことを提唱する。腹心の部下たちがそれに応じて企てたこと。 サタンの宮殿である万魔殿が深淵のなかで造営され、 忽然(こつぜん) として姿を現わす。 地獄の首領たちが万魔殿の中で会議を開く。 


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