エントリーNO.268
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知性について

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

名著「付録と補遺」の一部。該博な教養を模範的な散文のうちに盛りこんだこの人生の箴言集は、 哲学の専門領域を超えた書として広く読まれる。ドイツ観念論の体系構築をしりぞけて、 世界はすべて盲目的意志なりと説いたこの厭世的哲人が語る「知性」の章は、 その透徹した観察と辛辣な表現によって読む人すべてを魅するであろう。

発行
岩波文庫 1984年4月10日 第24刷
著者名
ショーペンハウエル  
タイトル
知性について (ちせいについて) 他4篇  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    哲学とその方法について
     一
 われわれのあらゆる認識と科学とがその上に乗って支えられている基礎は、説明不可能なものである。 だから、いかなる説明も、多かれ少なかれいくつかの中間項目を通ってさかのぼりながら、 結局はこの説明不可能なものにゆきつくわけである。 それはちょうど、海上で深さを測るために垂れる鉛が、ところによって深さのちがいこそあれ、 結局はいたるところで海底にとどくのと同様である。 この説明不可能なものが、すなわち形而上学の本領なのである。
     二
 ほとんどすべての人間は、自分があれこれの特定の人間であるということを、 そこからみちびきだされる系をも含めて、たえず気づかっている。 これに反して、自分がそもそも人間であるということ、そしてここからいかなる系がでてくるかということは、ほとんど彼らの念頭に浮かばない。 けれども実は、これが大切なことなのである。


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