エントリーNO.262
岩波文庫を1ページ読書
定本 育児の百科

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

育児という未知の体験で日々不安に直面した数多くの人々が本書によって導かれ、 勇気づけられた。 子供の生命力そのものへの信頼を説く本書は、最晩年まで社会的活動を続けた著者の仕事の集大成であり、 平易な言葉で書かれた思想の書である。

発行
岩波文庫 2007年12月14日 第1刷
著者名
松田 道雄 (まつだ みちお)  
タイトル
定本 育児の百科 (ていほん いくじのひゃっか) 全3冊  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

   誕生まで
    1 母親になれるか
 結婚したら母親になるべきだ。仕事への責任や経済的な理由で母親になることをのばしているにしても、 30歳までに子どもができるようにしたほうがいい。 30歳をすぎてからの子どもはダウン症になる率が高いだけでない。 育児は重労働だから、20代のほうが体力があっていい。
 育児に自信がないから子どもをつくらないというのはまちがっている。 子どもを産まないうちから育児に自信のある人間など、あるものでない。 水にはいったことがなくて、水泳に自信のある人間がないのと同じだ。 育児は全科目の試験でない。子どもの月齢に応じて、でる問題がきまっている。 1ヵ月の赤ちゃんの母親は、1ヵ月の赤ちゃんに必要なことだけ知っていればいい。 4ヵ月になったら1ヵ月の赤ちゃんにしかおこらない病気のことは、忘れてしまってかまわない。
 自分は人間ができていないから、赤ちゃんをそだてる資格がないと思うのにも賛成できない。 人間は完成するものでないし、完成に近づいたにしても、そのころには子どもをそだてられない。 だが親になることは、人間を完成に近づける機会であることにまちがいない。


copyrighit (c) 2011 岩波文庫を1ページ読書