エントリーNO.252
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善悪の彼岸

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

ニーチェはキリスト教的道徳のもとに、また民主主義政治のもとに「畜群」として生きつづけようとする人びとに鉄槌を下す。 彼にとって人間を平等化、矮小化して「蓄群人間」に堕せしめるのはこれら既成の秩序や道徳であり、 本来の哲学の課題は、まさにこの秩序・道徳に対する反対運動の提起でなければならなかった。

発行
岩波文庫 1983年11月10日 第14刷
著者名
ニーチェ  
タイトル
善悪の彼岸 (ぜんあくのひがん)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

    第一章 哲学者たちの先入見について
   一
 真理への意志、これはわれわれをなお幾多の冒険へ誘惑するであろうし、あの有名な誠実、 これについてはすべての哲学者がこれまで尊敬の念をもって語って来た。 この真理への意志はどのような問いをわれわれにすでに提示したことか! 何という奇異な、悪質な、疑わしい問いを提示したことか! それはもう一つの長い歴史物である。 ----それにしても、それはやっといましも始まったばかりのように見えるではないか。 われわれがついにはいつか不信を抱き、忍耐を失い、 () えられずに身を (そむ) けるにしても、 何の不思議があろうか。 われわれもこのスフィンクスからわれわれなりの問いを学ぶということに何の不思議があろうか。 われわれにここで問いかけるのは、そもそも誰であるか。 われわれのうちにあって「真理へ」意志しているのは、果たして何であるか。 ----事実、われわれはこの意志の原因への問いの前に長らく立ち (どま) っていた。 ----その挙句ついにわれわれは、結局、一つの更に根本的な問いの前に全く立ちつくしていたのだ。 われわれはこの意志の価値を問うた。


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