エントリーNO.245
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休戦

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

人間の肉体だけでなく、魂をも破壊した<アウシュヴィッツ>という死の世界を体験した者が、 いかにして普通の世界に戻っていくのか、いかにして一度失った生を新たに獲得していくのか----。 絶滅収容所を奇跡的に生き延びた主人公=作者レーヴィ(1919-87)が、 故郷イタリア・トリーノに生還するまでの約9カ月の旅の記録。

発行
岩波文庫 2010年9月16日 第1刷
著者名
プリーモ・レーヴィ  
タイトル
休戦 (きゅうせん)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

 休戦
  雪解け
 一九四五年、一月の初め、ドイツ軍は急接近中の赤軍の圧力に押されて、 シレジアの鉱山地帯を大急ぎで立ち退くことにした。 だが他の場所では、ラーゲルをその住民もろとも、銃を撃ち、火を放って破壊するのに何のためらいも見せなかったのに、 同じような条件下にあったアウシュヴィッツ管区では、別な振る舞いを見せた。 上からの命令で(ヒトラー個人のものだったと思える)、働けるものはすべて、いかなる犠牲を払っても「回収」すべし、 とされたのだった。 従ってすべての健康な囚人は苛酷な状況下で、ブーヒェンヴァルトやマウトハウゼンに連れ去られた。 そして病人はその場に放置された。


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