エントリーNO.240
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友情について

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

『老年について』の姉妹篇として書かれた対話篇。 古代ローマの政治家で賢者の誉れ高いラエリウスが、 無二の親友であった小スキーピオーを喪った動揺さめやらぬ中で、 二人の女婿を前にして、友情について語る。 友情論の古典の新訳。

発行
岩波文庫 2004年4月16日 第1刷
著者名
キケロー  
タイトル
友情について (ゆうじょうについて)  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

  一二九年、小スキーピオーの死後まもなく、ラエリウスの邸にて
    一
  献辞
 鳥卜官のクイントゥス・ムーキウス・スカエウォラは、しばしば岳父ガーイウス・ラエリウスの思い出を鮮明にかつ楽しげに語ったものだが、 話の中ではいつも彼のことをためらうことなく賢者と呼んでいた。 ところで、わたしは元服すると、父親にスカエウォラの所に弟子入りさせられ、出来る限りまた許される限り、この老人の側から離れぬように、ということになった。 こうして彼の専門的な議論や簡明適切な発言の数々を記憶にたたき込み、 彼の専門知識でわたしの教育が進むよう努めたのだった。 彼が世を去ると、わたしは神祗官の方のスカエウォラの門を (たた) いたが、 これこそ才能と公正さの点でわが国で最も秀れた人物であったと、わたしは断言して憚らない。


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