エントリーNO.225
岩波文庫を1ページ読書
プロタゴラス

解説文(「岩波文庫解説総目録」より引用)

当代随一と仰がれるソフィストの長老プロタゴラスがアテナイにやって来た。 興奮する青年にうながされて対面したソクラテスは、 大物ソフィストや若い知識人らが見守るなか、 徳ははたして人に教えられるものか否か、彼と議論を戦わせる。 古来文学作品としても定評あるプラトンの対話篇の中でも、とりわけ劇的描写力に傑れた一篇。

発行
岩波文庫 1990年7月15日 第4刷
著者名
プラトン  
タイトル
プロタゴラス  
 
上記著作より、本文書き出し1ページを引用

     一
 ソクラテスの友人  どこからやってきた?ソクラテス。言わずと知れたこと、アルキビアデスの青春を追いまわしてきたところなのだろうね。 じっさい、ついこのあいだもぼくはこの目で見たが、あいかわらず美しい男だと思ったよ。 だが、もう男だね、ソクラテス----われわれのあいだだけの話だが。もうすっかり (ひげ) も生えはじめているし。
 ソクラテス  それがいったい、どうしたというのだ。君は、「鬚生えそめし若さこそ、げに 優美(やさし) さのきわみなれ」 と言ったホメロスの賛美者ではなかったのか?アルキビアデスは、いままさにそういう若盛りにあるのだ。
 友人  で、どうなの、いまは?いままで彼といっしょにいたのだろう?あの若者の君にたいするそぶりは、どんなぐあいかね。
 ソクラテス  悪くない、とぼくはにらんだ。とくに、きょうのところはね。ぼくの味方をして、 いろいろとたくさんぼくのために弁じてくれたりしたのだから。---そしていかにもぼくは、ここに来るいまのいままで、彼といっしょにいたのだよ。


copyrighit (c) 2011 岩波文庫を1ページ読書